大きな桜の下に、女と龍丸が休んでいるのが見えた。 
彩女は丘を駆け上がり、龍丸の元へと向かう。
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| 香我美 | 
「
妾は陽炎座の頭 
 香我美 
 直々に相手をしてやる 
 光栄に思え!
」 |   
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香我美は刀を構えたが、龍丸は右手でそれを制した。
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自分を見据える龍丸の眼差し…香我美は暫く後、その場を譲った。
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香我美はそう言うと、一人丘を降りて行った。
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| 彩女 | 
「
龍丸… 
 あんたが師匠を殺ったのか…?
」 |   
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| 彩女 | 
「
あたい達の師匠じゃないか! 
 あたい達の親じゃないか! 
 本当に覚えていないんだね? 
 もう昔のようには戻れないんだね? 
 なんでこんな事に 
 なってしまったのかな 
 答えて… 
 答えてよ、兄様 
 兄様ぁ!
」 |   
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彩女のこの声に、龍丸の頭の中で何かがよぎった。 
幼き日の彩女の姿がよみがえったのだ。
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近寄ってくる彩女の首に、龍丸は十六夜をあてがった。
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龍丸は強い口調で、彩女の言葉をさえぎった。
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| 彩女 | 
「
分からないっ! 
 あたいには分からないよ!
」 |   
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| 龍丸 | 
「
再び相見える時は 
 容赦なく斬る 
 …さらば
」 |   
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龍丸はそう言い残し、去って行った。
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