□ 天誅弐 デモメッセージ 力丸ステージ二 □

◆ 〜第一幕〜 ◆

紅蓮

武家社会において、
代々家督はその実子が
受け継ぐ慣わしである。
だが、その実権を巡り
幾度と無く血で血を洗う
骨肉の争いが生まれた。
郷田家もまた例外では無い。
直系松之信が継ぎし事を
不服とする叔父の基秀は、
松之信に反旗を翻した。
この内乱は郷田家を
二分する戦へと発展する。
事態を重くみた筆頭家老、
関谷直忠は、陰にて郷田家に遣える
東忍流頭領
東紫雲斎へ遣いを出した。

■ 郷田城 内乱 ■
代々、東忍流が仕えし郷田家に内乱との報を受け、力丸らは城へと駆けつける。

一、燃えさかる炎に注意すべし
一、音の鳴る床は、しゃがみ移動で通るべし
一、道に迷わぬよう、五色米を活用すべし

〜 任務開始時 〜
涼やかに虫の音の響き渡る夜であった。
忍びの里の屋敷の中。
力丸は、いつものように書に目を通していた。
そこへ、龍丸がやって来る。
龍丸 力丸、師匠がお呼びだ
力丸は軽くうなずいた。

紫雲斎の屋敷の前。
力丸、龍丸に遅れて、彩女もやってきた。
彩女 何かあるのかい?
面倒臭そうに彩女が言った。
屋敷の奥から紫雲斎が姿を見せた。
3人の弟子達は、サッと跪く。
東紫雲斎 皆、揃ったな
 先刻、悪い報せがあった
 我等に縁深し郷田家に
 内乱が起こったそうじゃ
 乱の首謀者は松之信様の叔父
 基秀じゃ

 龍丸
 東忍流の魂、十六夜を
 お前に託す…
三人 師匠っ…!
師の意外な言葉に、3人の弟子達は声を揃えて言った。
紫雲斎は無言でうなずき、十六夜を龍丸に授けた。
東紫雲斎 郷田家を陰ながら支える事
 即ち是、東の役目
 命に代えても殿をお守りするのじゃ

 もはやお前達に教える事はない
 東の心と技を忘るるでないぞ
 さぁ、早う行け!
三人 ハッ!

城内では非情な殺戮が繰り広げられていた。
燃えさかる郷田城の中で、郷田兵は基秀兵に必死に応戦している。
基秀側が優勢を占めていた。
屋根から振ってくる息絶えた郷田兵…。
城壁の外で傷を負った1人の女が必死に歩き、逃げようとしている。
3人の影達がそこへ現れた。
ひいぃぃ
 どうか、どうかお助けを…
力丸 安心しろ
 我らは味方…
 して、松之信様は何処に?
と、殿は城内に…
 奥方様と姫様も…
力丸 急ごう!
龍丸は軽くうなずき、手早く弟弟子達に指示を出す。
龍丸 彩女、お前は奥方と姫を
 力丸は俺と共に来い
 殿をお守りする

降りしきる豪雨の中、郷田城の中庭を走り抜ける力丸と龍丸。
不意に、龍丸が足を止めた。
龍丸 力丸、先に行け
 直ぐに追いつく
力丸は軽くうなずくと、1人松之信の元へ走った。

〜 殿の間に到達時 〜
郷田城の最上階、殿の間にたどり着いた力丸は、壁を背に中の様子を窺う。
郷田基秀 民、民と煩き男じゃ
 その様な甘い政で
 この戦乱の世を生き残れると
 思うてか!
郷田松之信 否っ!
 民あってこその国ですぞ!
郷田基秀 黙れぃっ!
2人は互いの刀を数回打ち付けあい、鍔競り合いとなった。
基秀は肝を煎らして競り寄ったが、松之信はその隙を逃さず競り返した。
郷田基秀 ぐぅわっ…
地に伏した基秀、すかさず松之信は両手で刀を上に構える。
…暫く後、松之信は上にあげた刀を静かに下ろした。
郷田基秀 兄に似て、甘い男よ…
隙有りと見た基秀は懐の短筒を抜き、撃ち放った。
郷田松之信 ぬぅぉ!
玉は肩に命中し、松之信はその場でうずくまった。
力丸はとっさに飛び出した。
力丸 松之信様!

※ 基秀登場後にやられた時
郷田基秀 恨むでないぞ
 これも戦乱の世の運命(さだめ)じゃ
 はははははははは

〜 基秀戦に勝利した時 〜
力丸の攻撃に、畳に腰をつけた基秀。
郷田基秀 忍び如きに…
 不覚をとったわ…
力丸 基秀殿、覚悟!
力丸は止めをさそうと、刀を斬り下ろした。
ところが、なんと松之信が基秀を覆い庇ったのである。
郷田松之信 ぬぁぁぁ…
力丸 な…
唖然とする力丸、
刀を放って松之信を抱え上げる。
郷田基秀 ふっふっふっふっふっふ
 …つくづく甘い男よのぉ
 ぬふふふ…
その隙に基秀は笑いながら逃げていった。
力丸 松之信様…
郷田松之信 …お主は?
力丸 東忍流…力丸に御座います
郷田松之信 おぉ、力丸…か…
力丸 何故…庇われまするか…
郷田松之信 …叔父上も国を憂えての事…
橘十兵衛 殿ぉ!この曲者めぇ!
部屋に入ってきたのは、郷田家の剣術指南役、橘十兵衛だった。
郷田松之信 十兵衛!
 儂を救いしは、この力丸ぞ!
橘十兵衛 力丸?
 おお、紫雲斎のところの…
 我が主を救いし事、礼を申す
 殿、基秀様の兵が
 迫っておりまする。
 早くお逃げくだされ!
郷田松之信 ならぬ!
 佳と菊を…置いては行けぬ…
力丸 奥方様と姫様の元には
 彩女が向かっております
郷田松之信 君主として城を捨てる訳には
 いかぬ…
橘十兵衛 民あっての君主なれば
 君主あっての民では
 御座いませぬか!
そのとき、不意に基秀兵が背後から斬りかかってきた。
基秀兵 死ねぇ!
十兵衛は瞬時に斬り倒した。
基秀兵 ぐわあぁぁ…
橘十兵衛 早く抜け道よりお逃げ下され
 力丸、殿を頼んだぞ…
力丸は殿の間の掛け軸を捲り、
殿を連れて抜け道を通っていった。

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