イスラム圏へ旅行する際の注意点

今日、ムスリムは世界のいたるところでみられますし、イスラム圏へ旅行する機会も増えてきました。
日本人には馴染みが薄いイスラムの世界ですが、その地に足を踏み入れるのならば、
行く前に知っておくべき注意点がありますので、よく確認しておきましょう。
ムスリムではない観光客だから、知らないからでは通用しないケースもあります。

イスラムの世界は奥深く、簡単に1ページでまとめられるようなものではありません。
こちらではあくまでもイスラム圏への観光を目的とした場合の知識について取り上げます。
※時代と共に状況が変化しますので、あくまでも参考程度に留めておいてください。

イスラム圏へ旅行する際の注意点 目次

国や地域と時代によって事情はさまざま

一口にイスラム圏といっても、国や地域によってイスラムの教えに厳しかったり緩かったりしますし、
イスラム教の宗派も複数あるため、同じイスラム圏の地域だからといって、すべて共通しているとは言えません。

国民は敬虔なムスリムでも、観光客に寛容なところもありますし、
外国人といえどもイスラムの教えに厳しいという地域もあります。
国全体がイスラム圏というところもあれば、国の一部だけということもあります。

当然これらは、時代と共に状況が変化するものです。
そのため、旅行先の国がどういう事情であるかの最新情報を、個別に調べた方がよいでしょう。


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イスラムで禁止されている代表的な例

よく知られていて、旅行者も注意すべき点は、主に以下の通りです。

・左手は不浄とされているので、握手、物の受け渡し、食事などは全て右手で行う。
トイレで用を足してお尻を拭くときなどは左手を使う。

・肌の露出が高い服装は禁止。
敬虔な地域では女性は布で体を覆っており、頭も隠して目だけを出している。
使用されている衣装はアバヤ、ヒジャブ、ヒマール、ニカーブ、チャドルなど様々。
またそういった女性は被写体になる事を嫌うため、カメラを向けてはいけない。

・ムスリムの女性は近親者以外とは親しく接してはならない。
ムスリムの女性に対して握手を求めたり、声をかけたり、じろじろ見たりしないほうがよい。

・アルコールを飲むこと、賭け事をすることは禁止

・豚は不浄なものとされているため、豚肉を食べてはいけない。

・偶像崇拝を禁止している。
そのため、イスラムの芸術はタイル張りの装飾などが発達した。

・1日5回、今いる場所からメッカの方向に向かって祈りを捧げる。

・食事規則「ハラール」と断食月「ラマダーン」については後述


すべての地域でこれらが厳密に守られているわけではなく、イスラム圏であっても
お酒を飲んでいたり、外国人であれば免除されていることもあります。
ムスリムでも女性が解放的であることもあります。
逆に厳格な地域である場合は、観光客でもアルコールはまず手に入りません。
この他にも、ムスリムが守らなければならないことは多くあります。


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「ハラール」について

イスラム教の特徴として「ハラール」と「ラマダーン」があります。

ハラールは日本語ではハラルと書くこともあり、
端的にはイスラム法上で食べることが許されている食材や料理を指します。
イスラム法の下では豚肉を食べることは禁じられていますが、
その他の食品でも加工や調理に関して一定の作法が要求されます。
この作法が遵守された食品がハラールとされています。

前述の通り、調理にアルコールを使用していないかどうかや、
豚と同様に不浄とされている犬、獲物を捕獲するための牙や爪がある虎・猫などの動物、
それ以外の肉であっても屠殺が正規の手順に従ったものでなければ食べられません。

ムスリムは単純に材料表示だけを見て判断することが出来ないため、「ハラール」表示というものがあります。
これは、「ムスリムが食べられる食材を、イスラムの教えにのっとって調理している」
ことを示すもので、この認証は「ハラール認証」と呼ばれます。
(ハラルは食品だけでなく、化粧品や医薬品、介護用品、金融など様々なサービスにも適用されるそうです)

ただ世界的に統一された基準はなく、各国の認証機関によって制度が異なっているため、
ある国では禁止されている食品や規定が、他の国では問題とならないこともあるようです。

ムスリムが大多数を占める地域では、出回っている食材がハラールであることが当然のため、
生活する上であまり人々に意識されない一方で、豚肉を良く使う華人も多い東南アジアでは、
かなり意識される傾向があるとされています。

ハラールを認証する団体は複数ありますが、例えばマレーシアのハラル認証は信頼性が高く、
他の国でも通用しやすいのだそうです。


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「ラマダーン」について

ラマダーンはラマダンとも呼ばれ、イスラム教徒の義務の一つ「断食(サウム)」として、
この月の日の出から日没までのあいだ、飲食を絶つことが行われます。
よく誤解されるのですが、1日中断食をしているのではなく、あくまで日の出から日没までです。
そのため日没後はムスリムたちは一斉に食事をとります。
多くの人が似たタイミングで食べ始めるため、食事処はかなりにぎやかになるそうです。

このラマダン月は、主にイスラム教社会で使われている「ヒジュラ暦」の9月にあたり、
日本をはじめ世界各国で用いられる「グレゴリオ暦」で考えると、毎年その期間はズレていきます。
そのためラマダン月を知るには、その年ごとに調べる必要があります。
厳密にいえば「ラマダーン」は断食そのものではなく、あくまでもヒジュラ暦における月の名だそうです。

イスラム暦は純粋な太陰暦で閏月による補正を行わないため、毎年11日ほど早まり、およそ33年で
季節が一巡します。そのため「ムスリムは同じ季節のラマダーンを人生で2度経験する」と言われます。

ラマダーン月の開始と終了は、長老らによる新月の確認によって行われるそうで、
雲などで新月が確認できなかった場合は1日ずれたり、夏に日が沈まない極地地方にあっては、
近隣国の日の出・日没時間に合わせるなどの調整も図られるそうです。

ラマダーン中には世界中のイスラム教徒が同じ試練を共有することから、
ラマダーンはある種の神聖さを持つ時期であるとみなされています。


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イスラムの世界といかに付き合うか

昨今ではイスラム圏の一部におけるテロリズムなど、世界的にイスラムに対して悪いイメージが
抱かれがちであり、イスラムに馴染みが薄い日本においても例外ではないでしょう。
やはりそれはイスラムについての知識が乏しいため、という理由もあります。

テロなどを起こすのはあくまでも「一部の人間」であり、ムスリム全員が悪いわけではありません。
多くのムスリムにとっても、テロなどの過激な行為を行う人たちは、迷惑な存在なのです。

テロによって日本人も犠牲になったことがあるため、すべての人がイスラムを許容することは
難しいかもしれませんが、ただ単によく分からないから敬遠というのは狭量かもしれません。

イスラムに限らず、大事なのは、その地域の人々、文化、宗教などを尊重することです。
相手方に敬意を払うことができれば、おのずと寛容に接することができるでしょう。


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